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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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廊下の隅に横たわる博士に、ターカスが馬乗りになっている。彼は、博士の胸目がけて、両手を乗せていた。

私は、彼になんと声を掛けたらよいのか、分からなかった。彼は戦術ロボットだ。戦闘に余計な情けを掛ける事はしないはずだ。だが、バチスタ博士は、彼の生みの親なのだ。どちらの気持ちに寄り添えばいいのか、私には分からなかった。

そう思って迷っている内に、ターカスが立ち上がる。

「早く、オールドマンを探しましょう。一度、シップへ博士を運ぶように、アルバ殿を呼んで下さい」

「…わかった」




「ロボットの中に人を生む。その発想は、逆転出来るだろう?」

俺は、主人の言う事に、返事をした。

「ええ、そうですね」

主人は回転椅子をクルリと返し、不自由な足で立ち上がろうとするので、俺は傍へ寄って手を取った。

「人の中にロボット工場を埋め込む事が出来れば、街中どこでも、木を隠した森の中なのだよ」

「そうですとも」

「さあ。研究は完成だ。荷物は持ったか?」

「ええ」

俺は、小脇に抱えた培養器をちょっと持ち上げ、博士に微笑む。オールドマン博士は満足げに笑って、外への扉を開けた。




「アームストロングさん!博士はシップに乗せたわ!それで!?オールドマンは!?」

私達は、元の階段前の広場に戻って、アルバを待っていた。彼女が戻って来て、私達は話を始めたのだ。

「見つからない。早く探そう」

「この屋敷、どうなってるの!?私の目が全然利かないのよ!そこらじゅうが、全部ステルス化されてるの!まるで要塞だわ!」

アルバは困り果てて両手を振り下ろす。

「メルバよ、お前さんの見た所は誰か居たか?」

中将がメルバを見下ろして聞くと、メルバは首を振って答える。

「いいや、誰も。部屋の鍵は全部開いてたけどな」

私は、そこでなるべく情報を集めたくて、メルバにこう聞いた。

「何か、めぼしい物は見つけたか?」

ターカスはその時、私の後ろで、オールドマンを探しに行きたそうに、そわそわとしていた。メルバはみんなの真ん中からこちらを見て、こう言った。次の瞬間、全員の異常な注目が、彼へ向いたのだ。

「人の死体が、30体ほど」