メイドロボットターカス
私達が博士を追いかけていった時、辺りは静かだった。
小麦畑にはいくらか炎が燃え立っていたが、核兵器を使用した訳ではなくただエネルギー消費のために爆裂を起こしただけだったのだから、辺りは安全だった。
畑の真ん中にぴょこぴょこと動く博士の小さな頭が見えたので、私達はそこへ駆け寄る。
博士は手に持っていた小さなドライバーで、傷のある方のターカスの電源ボタンを取り外していた。
「博士…成功したのですね!」
「おうともさ!」
博士はこちらを振り返りにこにこ顔で答える。でもその顔はすぐに恐怖に引き攣った。
「博士?」
私が不思議に思って後ろを振り返ると、そこには眼帯をした男が立っていた。
「お前は…」
そのロボットが私を殴ろうとするのと、メルバがそのロボットに向けて爆撃を放つのは同時だった。
私の頭脳は軽い衝撃により視界が途絶え、後には子供達の叫びが僅かに聴こえた…
作品名:メイドロボットターカス 作家名:桐生甘太郎