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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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私はなんとかアルバとメルバを呼び戻し、2人は地上へ降りて来た。

「どうしたの!?アームストロングさん!2人はまだ闘っているのよ!?」

「ジャック!俺達はまだ負傷はしていない!上へ行かせてくれ!」

「そういう訳にはいかない。それに、すぐに片がつく。博士」

私は博士に目くばせをして、博士は手の中にあった小さな球体を投げ上げる。


球体が空まで昇っていく。その向こうでは、目にも止まらぬ速さで、ターカス達が争っていた。

やがてすうっと球状の核融合炉が重力に従って落ちて来ると思った瞬間、博士が叫んだ。

「爆風が起こるぞ!体を下げろ!」

バン!

その一帯に激震が走り、空気が割れて私達は衝撃を受けた。

「きゃあっ!?」

アルバが頭を抱えて叫ぶ。

「いくらなんでもやり過ぎだろ!大丈夫なのかよ!?」

メルバがバチスタ博士を振り返ってそう言った。

「大丈夫じゃ!水素を吸い取るだけじゃ!これでターカス達のエネルギーは補給されん!」

「そういう事ね!早く言ってちょうだい!」

「爆風が収まったらすぐにターカス達の機能を停止させる!儂はもう行かせてもらうぞい!」

「待って下さい!博士!まだ危険です!」

私が引き止めても博士は聞かず、彼は片目を爆風に晒して閉じたまま、もう片方の目だけで進んで行った。




私達が博士を追いかけていった時、辺りは静かだった。

小麦畑にはいくらか炎が燃え立っていたが、核兵器を使用した訳ではなく、ただエネルギー消費のために爆裂を起こしただけだったのだから、辺りは安全だった。

畑の真ん中に、ぴょこぴょこと動く博士の小さな頭が見えたので、私達はそこへ駆け寄る。

博士は、手に持っていた小さなドライバーで、傷のある方のターカスの電源ボタンを、取り外していた。

「博士…成功したのですね!」

「おうともさ!」

博士はこちらを振り返り、にこにこ顔で答える。でも、その顔はすぐに恐怖に引き攣った。

「博士?」

私が不思議に思って後ろを振り返ると、そこには、眼帯をした男が立っていた。

「お前は…」

そのロボットが私を殴ろうとするのと、メルバがそのロボットに向けて爆撃を放つのは、同時だった。

私の頭脳は軽い衝撃により視界が途絶え、後には子供達の叫びが僅かに聴こえた…