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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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元禄浪漫紀行(21)〜(28)

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「お前さんは…善さん…つまりあたしの言い交わした相手に、よく似ているんだよ。もちろん、顔や背格好だけだけどね…」

おかねさんがしゃべっている間、俺は決して口をはさまなかった。彼女はもう煙草を吸い終わり、煙管は元の場所に戻っていた。

「今まで、いけないことだと知りながらもお前さんを手元に置いたのは…恋しい気持ちをまぎらすためだったのさ…許しておくれ。でもね…」

俺は彼女がだんだんと目に涙を溜めて語る様子を見守っていて、“彼女が俺を気にして話をやめることだけはないように”と、強く祈っていた。

そこで彼女は目頭を押さえて涙を流し、目の前に何かを放り投げるように、腕を投げ出した。

「今はもう…違うんだよ!あたしは…秋兵衛さん、お前さんがしゃにむにあたしにかじりついて看病してくれて、命が助かってから…この、残った痘痕をね…お前さんに嫌がられたらどうしようと思って、つらくてしょうがないんだよ…!」

彼女は引きちぎるような悲痛な叫びを上げた。俺はそれに体を貫かれたかのように胸が痛み、嬉しいのか悲しいのかもさっぱりわからなかった。


「だから今日、善さんの墓参りをして、謝ったのさ…あたしは、あたしはどうしたらいいんだい、秋兵衛さん…」