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メデゥーサの血

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 正幸は老人が自分に残してくれたこの女性ホルモンを、いかに利用すればいいかを考えている。そこにすべてのヒントがあると思っているからだ。
 正幸はあくまでも一人の人間である。限界もあれば感情もある。すべてを一つの遺志の元に完結されることができるかというと難しいかも知れない。それは自分の人生を犠牲にするということを意味しているからだ。
――それを両親や老人が望んでいるだろうか?
 そう思うと正幸は息苦しき感じてきた。
「お前はそこまでしなくてもいいんだ。そのための女性ホルモンなんだ」
 と、老人が語り掛けてくれているような気がする。
 正幸はその言葉にハッとして、研究にさらに没頭した。何か目からウロコが落ちたような感覚だ。
 そういえば、老人が生前、聞かせてくれた話があったのを正幸は思い出していた。
「昔、ギリシャ神話というのがあってな。そこにメドゥーサという頭がヘビになった女性がいて、見る者を石に変えるという妖術を使うんじゃ。その力は死んでからも有効じゃったと言われているが、その身体から流れる血には、人を殺す力と、人をよみがえらせるという二つの力があったのじゃ。お前はそんなメドゥーサの血を受け継いでいる。よみがえらせる血を持っているんか」
 この言葉が正幸の頭の中で去来し、ずっと消えることはなかった……。

                  (  完  )



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作品名:メデゥーサの血 作家名:森本晃次