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フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~

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湊   「悔しいです。友也くんとはね、彼が中学を卒業して、街の不良グループとつるむようになった頃からのつき合いです。ワルガキとはときどきやり合いましたけど、友也くんだけはぜんぜん悪人の顔をしてなかった。あとから聞いた話なんですけど、あの事件の動機も、母親の高額な手術代を稼ぐためだったというじゃありませんか。そんな気持の優しい子を唆して犯罪の道に引きずりこんだ連中が許せんのです。なんとか時効になる前にと、捜査を続けたんですが力及ばず。で結局、友也くんひとりが罪をかぶって裁判にかけられる破目に・・・」
遠藤  「自業自得です」
湊   「いやいや、もうひとりの警備員さんが怪我されたことで強盗致傷という重い罪にはなりましたが、それとて友也くんが関係したかどうかわからない。今となっては何を言ってもせんないことですがね。それで、友也くん、元気にしてますか?」
遠藤  「ええ、いやそれが・・・」
湊   「ん?」
遠藤  「音沙汰なしで・・・」
湊   「・・・所在不明ですか?」

うどん屋を出る遠藤と湊。

湊   「(くわえ楊枝で)そうですか。保護観察の間は、いろいろ様子を見に行ってたりしたんですがね、異動や何やらで・・・」
遠藤  「しようがありません」
湊   「すみません、お役に立てなくて。(携帯が鳴って通話にきりかえながら)あ、もし所在が判れば連絡いれます」



セレモニーホール
担当者と打ち合わせをする園芸社社員。
駐車場に園芸社の軽トラックが停まっている。
軽トラックの陰に隠れて三つ折りのパンフレットを読む友也。
“永代供養 神戸須磨霊園 1区画200万円から”
友也のスマートフォンが振動する。
パンフをポケットにしまいスマートフォンを取り出す友也。
メールを開く。

“#$&6%*MM>?k※$5Y∀$◇§‥”

解読アプリを立ち上げる友也。
文面が読み込まれる。
自動変換された文章が表示される。

“娘は生きている。様子を探れ。必要なら口止めしろ。モンドからの指令だ。分け前が欲しかったら言う通りにしたほうがいい”

くそっ!と悪態をつきながら、画面を消去する友也。



神戸セントヘレナ病院
台車に載せた観葉植物を運ぶ友也。
病院の玄関からエレベーターに乗り、階上のボタンを押す友也。
エレベーターを降り集中治療室の前で立ち止まる友也。
治療室の前にイヤホンをした私服警官が立っている。
治療室の自動ドアは職員が持っているIDに反応して開く仕組みになっている。
看護師が治療室からひとり出てくる。
ドアが開いて閉まるまでの短い時間に中を覗きこむ友也。
ベッドに上体を斜めに起こした優里。
頭には包帯が巻かれている。
鼻と口にはチューブ。
目は閉じている。
ベッドの横で昭吉が優里の顔を不安げに見つめている。
立ち止まっている友也に訝しい目を向ける看護師。
視線に気圧されておずおずと移動する友也。