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フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~

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遠藤  「待ってください。あいつは重篤な状態で病院にいるんです」
氏家  「詳しい話か彼から」

来賓室から去る氏家



佐原昭吉宅
大きなソファに昭吉が瞑想するように座っている。
昭吉に対峙して、千晶の両親が所在なげに座している。
電話が鳴る。

昭吉    「(電話に出て)和田か。優里は、優里は?」

千晶両親が気色ばむ。

昭吉    「・・・そうか。まだ見つからんか・・・」

再びソファに座って目を閉じる昭吉。
不安が高まる千晶両親。



神戸市街地
神戸の街かどをあてどなくさまよい歩く千晶。
お嬢様、優里様と叫びながら縁石につま先で立って千晶を探す和田。
人ごみを分けて千晶を探す鈴木。
サイレンを鳴らして走るパトカー。
JRや地下鉄の改札付近を張り込む捜査員たち。
街角の立ち人探しをする強面の捜査員に出くわし逃げるように駆けだす千晶。
ルミナリエの電飾が煌く通りを人の波にもまれて歩く千晶。
湊と捜査員A,Bがルミナリエの群衆の中に分け入っていく。



摩耶大学
がっくりとうなだれた遠藤が枢木に促されて廊下を歩く。
氏家を乗せた高級乗用車が玄関車寄せから出ていく。
遠藤と枢木が玄関に着くと、永井が公用車の前に立っている。

永井  「遠藤捜査官」
遠藤  「永井さん」
永井  「(枢木に)ちょっといいかな」
枢木  「(間を置いて)手短に願いますよ」

話しながら円形花壇の縁に腰を落ちつける永井と遠藤

永井  「私もこの件の概要はうかがいました」
遠藤  「俄かに信じがたい話です」
永井  「遠藤さん、これを見てください」

小さなタブレットを遠藤に見せる永井
タブレットに映る鈴木の防犯カメラ画像、花に埋もれた唐津の死体。

遠藤  「これ鈴木刑事ですか」
永井  「そうです。わが署の若きエース鈴木淳です。来月には初子を授かる。そんな奴が人殺しなんて・・・」
遠藤  「なにかの間違いでは?」
永井  「そう信じたい。しかし犯行に使われた凶器や現場に残された指紋が彼のものと一致した。馬場巡査の一件も同様だ。本人たちがいくら否定しても懲役刑は免れないだろう。だが彼ら優秀な警察官があんな非道な殺しをするとは到底思えないのですよ」
遠藤  「鈴木刑事とは面識があります。好青年でした」
永井  「エスの話は聞かれましたか」
遠藤  「はい。よく理解できませんでしたが」
永井  「僕もです。けど官房長がこんな例え話をされた。裏切られて瀕死の重傷を負った小森友也の魂が警察官に憑依したのだと」
遠藤  「憑依、ですか」
永井  「深い恨みを蓄えて鬼と化した友也くんが馬場や鈴木の身体を借りて復讐を果たした。そんな漫画みたいな話を、長官は真面目にされたのだ」
遠藤  「えっ、永井本部長。その話を信じたのですか」
永井  「わからない。でもそう説明されれば、馬場や鈴木の潔白の納得がいく」
遠藤  「しかし、友也は今も警察病院のベッドの上で・・・」
永井  「そうは思ってない連中がいるのです」
遠藤  「狂ってる」
永井  「遠藤さん、お願いがあります。無理強いはしない。鈴木淳を助けてやってほしい」