フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~
湊 「手術中です。何と言っていいのか・・・」
遠藤 「あいつ・・・。本当に申し訳ありません」
湊 「いや、遠藤さん。何て言うか・・・」
鈴木 「遠藤さん、どうしてここへ?」
遠藤 「鈴木さん、実は小森友也は・・・」
湊が鈴木に耳打ちする。
鈴木 「(驚いて)そうだったんですか・・・」
日没の頃、ようやく手術中のランプが消える。
手術室のスイングドアが開き、慌しくストレッチャーが押し出される。包帯に包まれた頭から友也の左目だけが見える。
上半身、両腕にも包帯が巻かれている。
シーツをかけられている下肢は、膝から下のシーツの膨らみがない。
手術室から出てくる福住医師。
鈴木 「どんな具合ですか、小森?」
福住 「とりあえず命は取りとめました」
鈴木 「よかったぁ。本部に連絡してきます」
携帯を片手にロビーを駆け足で移動する鈴木。
遠藤 「先生、友也、両脚切断したんですね?」
福住 「ええ、苦渋の選択でしたが」
遠藤 「ありがとうございました」
福住 「あと左腕の骨折箇所を処置しました。問題はやけどの程度です。顔面を含め、全身の五十パーセントにやけどを負っています。うち、二十パーセントは重度です。緊急に植皮を行わないと、体内酸素量が欠乏し、多臓器不全に陥ります」
湊 「植皮?」
福住 「皮膚の移植手術です。通常は本人の別の部位から採るのですが、熱傷面積を考えると、正直、厳しい・・・」
遠藤 「他に手は?」
福住 「お身内の方の皮膚を、一時的に使う手がありますが」
遠藤 「先生、私のを使ってください」
病院内喫煙コーナー
湊が遠藤にタバコを勧めるが遠慮する遠藤。
タバコに火をつけ、白煙を吐き出す湊。
湊 「すみません。友也くんの所在を確認しておきながら、こんなことになってしまって・・・」
遠藤 「仕方ないです。所在がわかる前に、友也はもう、犯罪に手を染めていた」
湊 「私は個人的には、十年前の事件と構図が同じだと見ています。捜査本部は、友也くんの単独犯行で幕引きを考えているようですが・・・」
遠藤 「・・・あいつが人殺しの片棒を担ぐなんて・・・」
湊 「遠藤さん、友也くんが直接殺人に関わったかどうか、まだ決まったわけじゃありません」
遠藤 「しかし・・・」
湊 「ええ、残念ながら、事件に関与していたことは、疑う余地が・・・」
遠藤 「立ち直ったと信じていたのに・・・」
湊 「犯行に加わる、なんらかの事情があったのでしょう」
作品名:フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~ 作家名:JAY-TA