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端数報告2

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これについては遠藤がこう書いている。これも信じたければどうぞ。
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏58-59ページ
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏表紙
 
が、そもそも居木井と八兵衛は取り調べをさせてもらえず、刑事調べをすっ飛ばして高木検事が訊問したというのはよく知られた話のはずだ。前に書いた通り八兵衛らは、デイヴィッド・ピース著『占領都市』で、
 
   *
 
【かなりのページが破損、汚損。事情は不明だが失われたページもある】
 
画像:占領都市表紙
 
の一行でスキップされた7月から8月初めにかけて、《アッ、スラれた》の話とか、《偽名の口座に8万円》といった証拠を集めている。セーチョーの『小説』から1ページだけ見せよう。あらためて、ここで〈古志田〉と書いてあるのは居木井の名を変えたものだが、
 
画像:小説帝銀事件91ページ
 
アフェリエイト:小説帝銀事件
 
こうだ。〈落としの八兵衛〉なら、その後に《吉展ちゃん事件》で小原保を吐かせたように、拷問などに頼らずにこれらの材料を平沢に突きつけ、〈重い自白〉を取れたのではないかとおれは考えています。
 
が、『刑事一代』によればこのとき居木井ら名刺班は、上層部から『踊る大捜査線』の和久と青島らのような扱いを受けていたという。「所轄なんかにやらせないでよ」のあれと同じく「タタキ部屋のやつらになんかやらせないでよ」だ。これも1ページだけスキャンして見せよう。
 
画像:刑事一代144ページ
 
こうだ。上の人間達は、《偽名の口座に8万円》の件も把握していなかった。なのに居木井らに〈荒ごなし〉させず、検事調べを行った。
 
というのがわかるだろう。甲斐はともかく、ここに出てくる〈坂和〉に〈須藤〉というのが彼ら名刺班から手柄を横取りしようとしていたことにまず疑いの余地はない。
 
そんなだから後で揉めることになるんだ。
 
と、おれとしては思うけどあなたはこのミゾグチさんを信じたいなら信じればいいでしょ。
 
 
で、ようやく次のページだが、
 
画像:未解決事件の戦後史18-19ページ
 
6.続けて自殺未遂騒ぎを起こす
 
これも、遠藤の本によればこう書かれる。1回目はさっき見せたページにあったが、2回目と3回目は、
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏134-135ページ
 
バカバカしいよな。手の静脈を切ったってまず死なないのは、
 
アフェリエイト:完全自殺マニュアル
 
こんな本を読むまでもなく誰でも知る話のはずだし、その血で壁に「無実」と書いた。
 
見え見えのデモンストレーションじゃねえか。で、二度目が義弟を呼んで、「私は真犯人ではない!」と叫びながら、柱に頭をぶつけたと。三度目は痔の座薬を5個飲んだ。
 
そんなもんで死ぬわけねーの、わかってやったことに間違いあるわけないじゃん。芝居だ芝居。そんなことをするってことが、帝銀事件の犯人である証拠と言っていいくらいだ。
 
 
7.過去に銀行に対して4件の詐欺事件を起こしていた疑いが浮上し、本人も自白するのだ
 
詐欺そのものについてはここでは繰り返しません。この言い草だけ見てやってください。〈微妙な背景〉〈説がある〉〈その影響に〉〈考えられた〉。頭を変なウイルスにやられてんじゃねえのかこいつは。
 
 
8.起訴の裏づけは本人の自供のみだった
 
もうおわかりでしょう。よく言われるこの話はまったくのガセ。有罪の決め手は《事件直後に手にしていた出所不明の大金》であって遠藤が言う《10月8日と9日の調書》などではありません。そんなもの重く見られてなどいません。そして他数々の、真っ黒な証拠のゆえに死刑が確定したのです。
 
だから歴代の法務大臣がハンコを捺さなかったのは、まあやっぱりみんながみんな、最初に見せたキーパーソンの文みたいのだけ読んで平沢を無実と考えたせいであるのかもしれませんが、再審請求が通らなかったのは当然の話です。
 
 
――と、ここまではいいとして、
 
9.この事件で、どうしても引っかかる点が2つある
 
ですが、既に長くもなったのでこれについては次回にしましょう。乞う御期待。
 
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作品名:端数報告2 作家名:島田信之