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端数報告2

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なんで? なんでそうなるの? じゃあ〈第2波〉と言うのはつまり、明日にその千万が突然苦しみ出し、「ぐええ」とわめきながら死ぬということなのか。
 
まるでそういう意味に聞こえる。でもそんなのはバカげてる。それに、どうして一千万だとそうなるのかの説明もない。学者はただ「第2波」と言い、具体的なことを言わぬが、〈第2波〉とはどんなものか。
 
わからない。テレビはただ『感染が拡大すると第2波が起きる』と言うだけだ。
 
このブログにここ何回か、『コロナ禍なんか全部マヤカシと最初からおれはわかっていた』と書いてきたけど、あれは半分本当だが半分嘘だ。以前、ここに狂犬病とジステンバーの話を書いたとき、おれはテレビがコロナについて言うことがまるでわからずに戸惑っていた。全部が全部デタラメとしか思えないのは思えないのだが、なぜ感染が拡大すると第2波が起きることになるかが特にわからない。〈第2波〉って一体なあに? 政治家はわかったうえで言ってるのか?
 
いや、政治家はわかってないだろうと思ったが、学者だ。学者がそう言うから、誰もが疑わず受け入れるのだ。だが〈第2波〉とはどんなものだ。
 
明日に千万が発症し、「ぐええ」ともがき苦しむのか。
 
致死率も80パーにハネ上がり、800万人が死ぬ。そしてその後はもうとめどなく……そういう意味に聞こえるけど、そういう意味なんだろうか。
 
「それはまったく有り得ませんね。軍がそのようなプログラムをあらかじめ仕込んだウイルス兵器を開発したのが出て広がった、とでも言うのならともかく、自然には到底有り得ないことだと言えるでしょう。そんなことが起こる率は、猿にワープロを打たせたときに《天上天下唯我独尊》と出る確率と同じくらいではないでしょうか」
 
おれの脳はそうおれに言う。そうだよなあ、と納得する。しかしテレビで学者が言うのは、「ぐええ」にしか聞こえない。
 
まったくわけがわからなかった。で、あのときはああ書いた――狂犬病とジステンバーの話ね。そして、その後に来たのが8月のあれだ。死者・重症者が増大し、『第2波だ』と世が騒いでる。
 
「いや、熱帯夜のせいだろう。そいつらどうせクーラーをガンガンかけてハダカで寝ていたんだよ」
 
おれはそう思ったけれどしかしそう思ったのは、日本国民が一億何千万かいる中でおれひとりだけだったのだろうか。案の定、熱帯夜が終わった翌日〈第2波〉とやらはピタリと止んだが、ニュースが言うには、
 
「ひとまず救われましたが、謎です。ウイルスは何を企んでいるのでしょう」
 
何をバカなこと言ってやがる。そのときは、おれはそうとしか思わなかった。
 
で、それきりだったんだが、10月になってテレビをつけるとまた池上彰が映った。すぐチャンネルを変えたけど、その前にあいつの言葉がひとつだけ聞こえた。
 
「8月のあれが第2波かどうかについては専門家の間でも意見が分かれているようです」
 
と、ただそれだけ。
 
実を言うとここ何回かのあいつについての悪口は、ただそれだけを元にして書いてる。ただそれだけでこれだけひどいことを書くおれもひどいやつだと思うが、とにかく、おれはこのときに、チャンネルを変えながら、
 
「分かれてんのかよ。バカか。学者が一万人いて、あれがクーラー病なのに気づくやつがいないのか」
 
と思っただけだった。
 
あの一時的増加は熱帯夜が始まると始まり、熱帯夜が終わると終わった。正確にそうだ。ならば百万のバカがクーラーをかけながらハダカで寝たに決まってるじゃないか。そこに気づく人間が、医者や学者の中にひとりもいないのか。
 
だから意見が分かれてんのか。どう分かれてると言うんだ。
 
そう思った。思ったけれど、確かめる気はしなかった。そんなところにケーブルテレビでこの映画が放映され、おれは録画して見たのである。
 
アフェリエイト:アルキメデスの大戦
 
って、おい、なんだよ、唐突に話を変えるなと言ってはいけない。これを見たとき、おれは「あ」と思ったのだ。『アルキメデスの大戦』はバカな映画だ。バカなおっさんどもが戦艦を造る造らないでケンケンガクガクやり合ってる。それを二時間見せられる。不毛だ。不毛だ。ただただ見ながらそう思うしかない。
 
でも見た。そして、「あ」と思った。この映画は〈大和〉を造る造らないでおっさんの意見が分かれている。
 
数日前にチラリと見た池上彰が言っていた。8月のあれが第2波かどうかで専門家の意見が分かれていると。分かれてんのか。どう分かれていると言うのだ。
 
と言っても確かめる気はやはりしなかったのだけど。今も無論確かめてない。どうせこの映画同様、てんでくだらんに決まってるのだ。おれに言わせりゃ8月のあれは、クーラー病に決まってる。だから第2波じゃないことになる。
 
そうだろう。おっさんどもの会議の場におれが出て行き、
 
「クーラー病でしょう。あの一時的増加は熱帯夜が続いたために……」
 
言ったら、
 
   *
 
 三秒間ほどは何事も起らなかった。
 と、暗闇のあちこちで耳を疑うかのように嘆息とも喚声ともつかぬ声が上がった。科学者たちは、あるいは隣に向かって腕をふりまわし、あるいは途方に暮れて後ろの席をふり返った。たちまち会議場は騒然となった。
「まさか!」
「そうか、そうだったのか!」
「うん、そうだ、そのとおりだ……」
「どうしてそこへ……」
「出鱈目にも程がある!」
 スクリーンのハントはあたかもそのありさまを眺めているかのように、無表情にじっとカメラに向かっていた。会議場の反応をハントは的確に予想していた。(略)
 
アフェリエイト:星を継ぐもの
 
と一万のボンクラ学者が、この本の主人公・ハントが的確に予想していた通りのさまを見せるに違いない。
 
ヤマト航海日誌2
https://novelist.jp/91017.html
 
そう考えておれはまずこれを書いた。で、そこから考察を進めて今これを書いている。最近になってやっとわかった。世のどいつもこいつもが、学者や医者まで含めてコロナが意志を持ち、人を人として認識し、悪意を以て殺しにかかっているものと見ている。そのためにいったん毒を弱めて油断させる戦略を採っているものと考えてると。
 
本気で。ただし、自覚がない。「そういうことですよね」と言う者もいない。言っちゃいけないことなのが無意識にわかっているので、脳の中のその部分に自分でピンを挿し込んで自分で気づかないようにしている。
 
一万人の学者がみんな! 十万人の医者がみんな! おれが書いたこの小説の、
 
ゴルディオンの結び目
http://2.novelist.jp/73396.html
 
題名通りの〈ゴルディオンの結び目〉のように! そういうお話なんで良ければ読んでやってくださいというところだが、そう言えば、昔に読んだ『ホット・ゾーン』にも確か書いてあったと思うな。ウイルスはものを考えない。人に悪意など持たない。けれど、それを理解できる者は非常に少ないと。
 
作品名:端数報告2 作家名:島田信之