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「私はパトロンでもなんでもなく、平沢から、家を建てるから、一万円貸してくれ、と言われ、そんなに親しくもないのに、図々しいと思いながら貸してやりました。すると、(略)」
 
アフェリエイト:小説帝銀事件
 
とあったのを思い出してほしい。平沢は当時に家を、それもかなりの豪邸を建てようとしていたのだが、建設費が払えずに工事が滞っている状態だったと最近知った。おれが最近知ったわけだが、セーチョーがそんな大事なことを『小説』にはっきり書いてくれてなかったからである。いや、よく見りゃ《工事が途中で止まっていたのが……》なんてな文があちこちにあるんだけどさ。
 
でもはっきり、《豪邸を建てているところだった》と書いてなかった。まったく。それが遠藤誠の本に、
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏34-35ページ
 
こう書かれ、同じ本の〈資料編〉に高裁での判決文として、オーケンは読んでないだろうが、
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏270-271ページ
 
こう書いてあるのでよくわかったのである。
 
でもって、以前お見せしたセーチョーの『小説』の、《捜査本部が推定した平沢貞通の足取り》というものだが、
 
画像:小説帝銀事件144-145ページ
 
今度はこれの青で囲った部分をよく読んでほしい。帝銀事件の2日後に、多額のカネを銀行に預けているのがわかりますね。
 
カネに困っていたはずの平沢が、事件の2日後に。ここにあるのは預金したりその日に遣った分だけだが、平沢がこのとき持っていたはずのカネは他にいくらかあって、少なくとも13万、おそらくそれ以上を自分のものとしていたのが確認されている。
 
 
が、帝銀で強奪したのでなければどこで手に入れたと言うのか。
 
 
平沢は問われて答えられなかった。
 
 
それが平沢貞通が帝銀事件の犯人とされる最大の根拠、
《事件直後に手にしていた出所不明の大金》
なのだが、『占領都市』の〈1〉の赤で囲った部分、
 
   *
 
 もちろん、この時期のこれらのできごとについては、多くの人々と何度も話してきた。しかし、もう一度言っておかねばならない、今言っておかねばならない、わたし自身が助かりたいからではなく、家族にこれ以上の恥辱を味わわせたくないからだ。
 
   *
 
という、このデイヴィッド・ピースは参考文献として、
 
『われ、死すとも瞑目せず 平沢貞通獄中記』(毎日新聞社、1988 リンク貼れず)
 
てな本を挙げている。平沢が書き遺した文をまとめたものなんだろう。たぶんこの〈十本目の蝋燭〉とやらはそいつを抜き書きしたものであるのかもしれない。
 
詐欺にせよ横領にせよ、全部自分の都合のいいよう合理化される。デイヴィッド・ピースとやらはそいつをウンウンと涙ぐんで頷きながらに書き写したものであるのかもしれない。
 
だが、これが真っ赤な嘘である証拠に、『疑惑α』を1ページだけ、今度はスキャンして見せよう。こうだ。
 
画像:疑惑α98ページ
 
ここに書いてある通り、事件後、平沢の手許に少なくとも13万4千円という当時としては大金が入っていた。その出所を平沢が明確にしなかった事が、平沢の最大の弱点だった。逮捕後、この事で平沢はさんざん追及されたし、世間も問題にしていた、のである。平沢の家族の生活は恥辱にまみれた。遠藤誠が書いた通り、窓に石を投げられたり、いやがらせを受け、学校でいじめられたこともあったろう。だがその家族にも平沢は、帝銀事件の犯人でないならカネをどこで手に入れたのか、聞かれて答えられなかったのだ。
 
というところで今日の話はおしまい。それではまた。
 
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作品名:端数報告2 作家名:島田信之