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短編集86(過去作品)

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――正治の部屋で沙織が? 二人はいつの間にそんな関係に? いや、では昨日自分に会いに来たのはどういうことだ? 私に振られて、正治のところに行ったということか――
 さらに考えられる疑問として、
――その時、正治はどこにいたのだろう? 刑事の話では発見されたということだが、通報は誰がしたというのだ――
 疑問はまだまだ続くが、先生から見せられた円盤のように一旦最後まで来ると、反動で元に戻ろうとして逆回転を始める。頭の中もまた同じところに疑問が戻ってしまい、袋小路に入ってしまったかのようだ。
「彼は、正治はどうしたんですか?」
「彼は、いまだに行方不明ですが、心当たりはありませんか?」
「心当たりといっても、最近会ってませんからね。確かに二人とも私の親友ではありますが……」
 そう、親友であることには違いない。しかし、知らない間に一体何がどうなってこんなに絡み合った関係になってしまっていたのだろう。
――もし三日前に沙織を抱いていたら、状況が変わっただろうか――
 後悔のようなものが俊介を襲う。しかし、俊介が抱いていたからといって、それで彼女の気持ちが清算されたとは限らないだろう。動機がハッキリとしていないらしいが、言葉で説明しろといわれれば難しいが、俊介には何となくだが分かる気がする。
 見舞いに行ってみた。そこには青い顔をした歳三が鎮座していて、何を考えているのかうつろな目で、沙織を見つめている。
――どこかで見たような気がする――
 この間のコンサート帰りに見た顔、そのままだった。顔色は青いが、無表情である。目の焦点が合っておらず、俊介が入っていても、ゆっくりと振り向いたが、また正面を向きなおした。一切表情に変化はない。
 こちらを向いた顔を見た時、ドキッとしてしまった。最後に会った時の、正治の顔にあまりにも似ていた。声を掛けるにはあまりにも雰囲気が重過ぎる。彼女も寝ていることだし、そのまま部屋を後にした。結局、一言も話していない。
 そのまま帰りにトイレに入り、鏡を見た。
「うっ……」
 思わずその場で凍り付いてしまった。その顔はまさしく、さっき見た歳三の顔にそっくりだったからである……。

                (  完  )


作品名:短編集86(過去作品) 作家名:森本晃次