偽りの保守政党。惨殺される日本
臨床における法制度や技術資本によるものなのか、国内では新型ウイルスに対するワクチンは製造されていない。日本政府が公金を用いて購入した三社である「ファイザー」と「モデルナ」はアメリカの製薬会社であり「アストラゼネカ」はイギリスの製薬会社であって、どれもが海外の企業である。ワクチンの購入とは、日本人への十分な臨床と安全性が疑問視されるそれと引き換えに海外の企業へと日本国の公金を渡すという行為であり、そうして購入先の企業の売上と利益が上がれば株価が上がって株主配当が増え、投資家が儲かるということに繋がるのだ。
国内の病床数の増加や医療の対応能力を強化をすると、逼迫している新型コロナに対応している病院の医療従事者の負担が減り、医療崩壊によってもしも自分が罹患した時に治療が受けられなくなると恐れている国民が安心し、あるいはコロナ禍で客が来なくなって経営難に陥っている個人病院などの医療従事者が所得と労働の機会を得られるようになり、医療設備や医療用品を製造する国内の企業も売上を伸ばせる。何よりも医療供給能力の向上によって緊急事態宣言も過度な自粛なども全くいらなくなり、多くの国民が日常に近い生活を出来るようになるのだ。
これらは一般的な日本国民からすればどれも良いことばかりだが、与党である自民党の閣僚を中心とした政治家達にとって一つとても大事なことが抜け落ちている。それは彼らにとって何よりも大事な海外の投資家や企業が儲ける部分が特に見当たらないということである。投資家達にとっては、日本の技術や資本を安値で買いあさるために、マスコミを通して散々危機を煽った上で医療崩壊を防ぐという名目でいつまでも自粛をし続けて経済を崩壊させてもらっていた方が非常に都合が良いため、閣僚を中心とした政治家達はそれへと忖度して医療対応能力の拡大や指定感染症の改定も遅々として行わず、経済的な支援へも消極的なのだ。
国内の企業や労働者を助けるためには財政均衡という全く無意味な目標を守るという口実で金を出し渋るにもかかわらず、海外の企業や投資家へは金を惜しまない。ここにおいても、国内に対してはひたすら冷遇する割に海外の企業や投資家を儲けさせることだけには全力を尽くすという何十年も続けられてきた今までの自民党政治の定番は物の見事に踏襲されている。このことから、どれ程の危機に晒されようとも、それを押さえ込む所か、それを敢えて利用して海外の大企業と資本家達にのみ利する売国という本分を果たす自民党の執念は続き、彼らが与党でいる限りは、どのような災害が起きようとも決して日本の政治は改められないという分かり切った結果を証明してしまった。
そうした意味では、危機を目の当たりにしても国民を見殺しにし続ける菅内閣とは、今までの自民党政治の集大成であり、非常に自民党らしい極めて下劣な政権であると言えるだろう。
客観的に見て、安倍内閣や菅内閣は無知が故に国内の労働者や企業を追い詰める悪政を敷いているというだけではなく、海外の企業や投資家達を儲けさせるという明確な意図を以て、ある種の正気を保ったままにコロナ禍という突発的な事象を極大の悪意で利用して国内の経済を敢えて徹底的に破壊しているのだと考えることが妥当だろう。つまり、彼らは愚者であると共に意図を持って国家国民を追い詰める「確信犯」である可能性が極めて高い。
こうして見れば分かるように、緊縮財政や日本経済の破壊は、海外を中心とした一部の企業や投資家達にとって非常に美味しい金儲けへと繋がるのだ。
「国民達の命や生活」と「資本家達の利益」とを政治家達によって価値の天秤に掛けられ、その上で軽んじられて躊躇いなく放り捨てられた側の憐れな存在が日本国民というわけである。
そうした政治的な決断によって作り出されたものが、ウイルス感染によっては殆ど健康的なリスクが無いにもかかわらず精神的な圧迫や経済的な貧困によって自殺へと追い込まれた子供や若年者を中心とした悲惨な屍の数々であり、倒産し続ける国内の企業と失業する労働者、壊され続ける国民の生活と文化、毀損され続ける国力と国益という余りに悲惨な現状である。
皇室の断絶にしても、日本国という共同体の価値観の中心である皇室が無くなれば国民で共有される同族意識がなくなり、そうして国民同士は互いを仲間と思わなくなってより激しく分裂するようになる。そうなれば彼らが纏まって海外の資本や追い出そうとしたり地域を守ろうとすることがなくなるため、海外の資本家からすれば国内資本や企業を買収したり嘗ての公的な経済市場へと干渉したりしやすくなる。そうした単に搾取しやすくなるという理由から行っているに過ぎないだろう。
核武装をさせないのは、有事に際して決して開かない核の傘という偽りの庇護下に日本を置くことで立場を強くしたアメリカ政府を経由して資本家達の要求を通しやすくするためであり、緊縮財政を進めるのは、そうして日本の経済が低迷すれば、経済問題の解決という名目で参入障壁の撤廃や構造改革へと誘導が容易となり、アメリカとも経済力の格差が広がることで、より容易に日本の資本や企業を買収出来るためである。
自民党によって特に1980年代から行われた政策のほぼ全ては、日本の国家や国民のためでもなければ占領国であるアメリカの国家や国民のためでもなく、海外を中心とした大企業や資本家を儲けさせるためだけに行われたものであり、多くの日本国民はマスメディアの報道などを通して、それが行われれば自分達の生活が豊かになるのだと騙されて未だに支持しているのである。
そして、その結果は散々たるものであり、それは5%へ消費増税をした1997年からの十五年間で統計した日本の名目経済成長率は主要国の内で唯一衰退している圧倒的な最下位という事実に表れている。イギリスのEU離脱や国内に投資を集中させているトランプ政権が一度は選ばれたように世界全体で見れば反グローバリズムの潮流が出来つつあるからこそ、海外を食い物にする資本家達にとっての最後の草刈場になっているのが日本であり、故にこれからは一層激しい危機に晒されることになるだろう。そして国民達は、自分達が政府や全ての政治家からとうの昔に見捨てられているという事実へと気が付き、国家を蔑ろにする悪政を自ら達の力で改めようとしなければ、そうした意図の元に構造改革の流れは急激に加速していくことになるのだ。
保守という言葉が自国の文化や国民の安全な暮らしを守ることを意味するとすれば、自民党は国家を保守する本来の保守政党などではなく、戦後における占領体制を保守して国益を毀損し続ける偽りの保守政党であり、アメリカという占領国へと日本の国益を売り渡すための売国集団であった。そして、それは母体であった敗戦直後の日本自由党の頃からだったのかもしれない。
作品名:偽りの保守政党。惨殺される日本 作家名:ナナシ