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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#1 身勝手なコンピューター

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「正確じゃないのは、物理現象の方なんだ」
「条件が変われば結果が変わる・・・」
「いいや、条件が変わらなくても、結果はいくつも存在すると私は考えている」
「今話しているのは、物理学の原理に基づいた現象ですよね。なら、その原理にそぐわない結果なんてあり得ないんじゃないでしょうか」
「その常識で世の中は動いているが、私が研究する量子物理学の世界じゃ、それが間違っていたって判り始めているのだよ」
「量子の世界って、概念みたいなものですか?」
「現世そのものなんだけど、今まではこの存在に気付けていなかったから、世の中を偏った理解しか出来ていなかったんだ」
「難しい話になりそうですね」
 睦美はまた眉間にしわを寄せた。しかし今回は前のめりに聞き入っている。

「確かに難しいかもしれない。君の常識が間違っているって信じるにはね」
「例えば、どんなことが?」
「光は光子という量子で出来ている」
「知っています」
 飛鳥山は右手の人差し指を立てて、ちょいちょいと振りながら、
「光はまっすぐ進むと思いがちだが・・・」
「重力に影響を受けて曲がります!!」
その突然の睦美の発言に、飛鳥山は指を振るのをやめた。すると睦美はまた結論を急いでしまったと感じ反省した。
「すみません」
「ははは、常識で見れば物理学的にはその通りだ。だが量子物理学的に見れば、光は身勝手なくらい自由に飛び回っているんだ」
「発光源の向きに関係なくですか?」
「そう。どこでも曲がるし、広がったり集まったり」
「イメージしにくいです」
「有名な光のスリット実験の話は知ってるかい?」
「なんか聞いたことあるような気はしますけど、よく知りません」
「量子物理学を勉強するには、まずそれを受け入れることが重要だ。その実験では、光を壁に当てると、壁が明るくなる。当たり前だね」
「はい」
「しかし壁と光源の間に一枚、縦にスリット(隙間)がある板を置くと、光はそのスリットを通り抜けた分だけ壁に当たる」
「少し暗くなるってことですか?」