小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

粧説帝国銀行事件

INDEX|9ページ/24ページ|

次のページ前のページ
 

「どうすんの」マサは続ける。「その記事読んで、どれだけの人があなたを信じると思うの。誰があなたの絵を買うと思うの。吊るされなくても、あなた、自分で首を吊るしかないんじゃない?」

「うーん」

とまた唸った。なるほどな、と思うしかない。釈放されたら自由だと考えるのは甘かったようだ。絵が高値で売れるものと考えたのも甘かったようだ。あの弁護士どもはダメだ。いずれ再び警察が来て逮捕され、今度こそ死刑台行きになるかもしれない。ここにいたら引きずり出され、木に吊るされてしまうかもしれない。そうでなくてもおしまいで、自分で首を吊るしかないとは……。

「どうすんの」

とまたマサが言った。「どうしようかな」と平沢は応えた。

それから言った。「逃げるしかないか」



作品名:粧説帝国銀行事件 作家名:島田信之