小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

粧説帝国銀行事件

INDEX|27ページ/48ページ|

次のページ前のページ
 

でなきゃこれほどの量になるまい。それに吐瀉物(としゃぶつ)とは別の臭気もまた感じるように思った。
 
シアン(青酸)だ。胡麻(ごま)や胡桃(くるみ)をすったような、前に何度か殺しの現場で嗅いだ憶えがある匂い。口から吐かれ泡立った胃液と混じっているのも同じ。
 
あの交番で何か言ったな。銀行で毒を飲まされたとか……思い出しながらに見ると床は反吐の他、泥靴の跡で汚れている。何十人もで踏み荒らした感じのものが店の奥に続いていた。
 
ガヤガヤと人の声や物音もする。先に来ている者達が仕事を始めているのだろう。古橋はそちらに歩を進めていった。
 
 
 
作品名:粧説帝国銀行事件 作家名:島田信之