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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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205号室にいる 探偵奇談23

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階段から、廊下へ。ゆっくりゆっくりと。音は近づいてくる。

カン   カン   カン

(ハイヒール…女…)

潤の脳裏に、音を鳴らすイメージが鮮明に沸いてくる。ドッドッドと心臓が痛いくらいに鳴っている。その音は、205号室の前で止まった。そこから、音が聞こえない。

「なになになに」
「部屋の前にいるよな…」
「シッ」

三人は闇の中でじっと沈黙する。汗が背中を伝うのがわかる。緊張感がピークに達しようとしたそのとき。

ビーッ

音が室内に響き渡り、三人はびくりと体を震わせた。たぶん、チャイムを鳴らしているのだ。

ビーッ

二回目。それきり音は鳴らない。

(やばいやばい…)

侵入していることがばれているのだろうか。もしも見つかったらなんて言い訳をしよう。潤は恐怖とパニックの中で考えを巡らせる。幸い三人とも面を被っているから、飛び出してダッシュで逃げられるかもしれない。相手が女ならたぶん逃げられる。


ギィー…ッ


扉を開ける不快な音が、耳から心臓に抜けていく。入ってきた…。