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ギシ、ギシ、と板張りの床をゆっくりと歩く音がする。尾花と和多田の緊張が伝わる。襖を開けられたら、ダッシュで逃げる。三人ともたぶん、同じことを考えている。暗闇の中で肩を叩き合い、意思の疎通を確認する。三人でバラバラに逃げれば、何とかなるはずだ。

ギッ…と腐った畳を踏みしめる音。もう、すぐ近くまで来ている。しかし、息遣いや声は聴こえない。足音だけ。

ごとん　　ごとん　　ずっ

何か、重い物を動かす音がする。一体何をしているのだろう。侵入者である自分達の存在を確認しに来た何者ではないのか？何か、おかしい。三人ともそれを感じている。見つかったらどうしようという感情は、徐々に不可解な者に対する興味に変わる。もしかして自分達と
同じように遊び半分に、または窃盗目的などで侵入してきた者なのか？


ギュッ　ギュッ…


嫌な音。何かを引っ張るような。


ゴトン！！


何かが倒れるような大きな音がした。ひっ、と隣の和多田の喉から息の漏れる音がした。


ぎぃー…　　　ぎぃー…　　　ぎぃー…　　　ぎぃー…　　


何かがぶらさがり、ゆっくり揺れているような音。