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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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205号室にいる 探偵奇談23

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「今にも倒壊しそうだわ」
「これ不法侵入じゃね?」

ひそひそと笑い声を上げながら階段を登る。場所を特定されてしまうと自分達の身にも危険が及ぶので、録画は足元だけに留める。そして、205号室の前に立った。

「みなさんこれみて下さいよ。お供え物ですよ」
「ここで誰か、亡くなっているんですね~」

尾花が供えられた花や菓子を撮る。

「これ倒したら心霊現象撮れますかね」
「よしいけ、3号!」

和多田が足で花瓶を蹴とばす。なんの躊躇もない。

「はい罰あたり~!」
「みなさん、何か映っていたらコメント下さ~い」

こういった行為に、潤は何も感じない。生身の人間を蹴っているわけではないし、こんなものは所詮無機物なのだ。幽霊などいないし、いたとしても何の力もない。生きている人間の方が強いのだから。

「では、いざ突撃!2号行け」

潤の号令に合わせて、スマホを構えた尾花がノブを捻った。しっかり動画に収められるように、潤はスマホで室内を照らした。

「うわうわうわ、まじで開くじゃん」

尾花が扉を開ききり、室内に入る。かび臭い。が、中は片付いている。取り壊されるのだから当然か。前の居住者の持ち物などは残っていないようだ。入ってすぐ、靴を脱ぐ場があり、そこから汚い廊下が続いている。左手に小さな炊事場と古びたコンロ。奥に六畳ほどの畳部屋。風呂はない。トイレは一階の共同部分を使用していたようだ。