205号室にいる 探偵奇談23
(やばい、やばい…!)
ギィ…
隣の個室を開く音…。
バタン
閉じる音。
次は、潤の個室が開かれる。恐怖は頂点に達した。
駄目だ。
俺も死ぬのか。
こつ こつ こつ
足音が、扉の向こうでとまる。もう、目の前にいる。
(ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…もうしません…)
ぎゅうっと目を閉じて、心の中で幾度も幾度も繰り返した。
瑞に言われた言葉を思い出す。自分達は、興味本位と自分勝手で人の死を弄んでいたのだ。決して許されないことをした。やってはいけないことがある。触れてはいけない領域があるのだ。
幽霊はいないかもしれないけれど、感情はある。瑞は言った。
おそらく、深い失意の中で首を吊ったであろう、女の感情。
女の死を悼んで、今も花を供え続ける者の感情。
それを潤達は、土足で踏み荒らしたに等しいのだ。
もう二度としない。こんなこと。だからどうか、どうか許して。
許して下さい…。
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作品名:205号室にいる 探偵奇談23 作家名:ひなた眞白