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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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205号室にいる 探偵奇談23

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救済はない



翌朝。尾花は学校に姿を見せなかった。
電話もラインも繋がらない。一睡も出来なかっただるい身体を引きずり、一限目が始まる前に二年の教室を尋ねる。

「あいつなら朝練で弓道場ですよ」

ああ、弓道部だったか。潤は弓道場に向かう。その途中で、朝練を終えて校舎に向かっていたであろう、くだんの人物を見つけた。

須丸瑞(すまるみず)だ。作り物のようにきれいな顔をしているが、こいつのすごさは見掛け倒しじゃない。感情を見せない涼しい瞳をしているくせに、その奥にぎらついた肉食獣のような鋭さを光らせている。

忘れもしない。一度、対峙したことがある。昨年こいつが転校してきた春の頃だ。

目立つからたちまち有名になった彼を、潤は数人の仲間とからかいにいったことがある。少し脅かしてやろうという思いで。
しかし瑞は、先輩に囲まれても平然としており、まるで石ころでもみるような目でつまらなそうにしていた。こういう嫌がらせには慣れているのだろう。反応しないというのは面白くないもので、仲間の一人が瑞の胸を小突いた。すると瞬時に、火が灯ったように瞳に怒りが満ちた。やり返すでもなく、声を荒げるでもない。その目に睨まれただけで、情けないことに潤らは恐怖したのだ。こいつやばい、と。

「あ、あのさ、俺…」

あのときと同じ。瑞は、冷たい目でじっと潤を見ている。その視線は皮膚を貫き、眉間を通り抜けていくような鋭さだった。命を、直接つかまれているような恐怖を感じる。


「幽霊を面白がるっていうのは、人の死を面白がって弄んでるってことじゃないのか」


瑞の口からそんな言葉が出て来た。びんと、たわんだ空気が一気に引き締まる感覚。幽霊、という単語に、なぜこいつは知っているのだと別の意味で震えあがる。