205号室にいる 探偵奇談23
「幽霊なんていないと思うのは自由だし、実際いないのかもしれない。だけど、感情は間違いなく存在する」
どういう意味なのかと問い返すことも出来ない。瑞の目は、明らかな侮蔑を含んでいたから。
「死にたいほどつらい感情。大切な人を失ってなお続く感情。死んでなお残る感情」
それだけ言うと、瑞は歩き出した。
「先輩の首に」
「え」
「縄、掛かってますよ」
擦れ違いざまにそんなことを言われて、潤はその場でへたり込んだ。駄目なのか、逃げられないのか…。
その夜、尾花からラインが届いた。最後のメッセージは和多田と同じ。
205号室にいる。
行かなくちゃ。怖いけど…やはり見捨てることは出来ないし、瑞に言われたように他者の感情を踏みにじったことを詫びる必要があると思った。そうしないと、もう、本当の意味で自分は駄目になるのじゃないかと。
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作品名:205号室にいる 探偵奇談23 作家名:ひなた眞白