205号室にいる 探偵奇談23
その日は、アパートに行く気にはなれなかった。とにかく布団を被り、朝が来るのを待つ。大丈夫、明日になれば和多田と尾花とまた面白い話をしながら過ごせる。自分達に呪いなんて言うものは無縁だ。無縁でなくてはならないのだ。
絶えず聞こえるあの音。首を吊った女がぶらさがり、ぎ、ぎ、ぎ、と揺れている縄の音がしているけど、大丈夫。大丈夫。こんなのは、朝になったら終わるのだから。
幽霊なんているわけがない。
いつだったかそんな話を、尾花達としたのを覚えている。
後輩に、幽霊が見えるとか噂されるやつがいて、それをみんなで馬鹿にしたときだ。
(幽霊が見えるやつ…あ、そうだ、あいつだ…)
あいつなら、何かわかるかもしれない。助けてくれるかもしれない。
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作品名:205号室にいる 探偵奇談23 作家名:ひなた眞白