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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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205号室にいる 探偵奇談23

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返礼



適当な理由をでっちあげ、潤は部活を早退する。言ったん家に帰り、着替え、今度は懐中電灯やデジカメも持ってアパートへ向かう準備を整える。尾花とは、現地で落ち合う予定だ。

和多田に何があったのだろう。動画の再生回数は爆発的に伸びている。瞬く間に拡散されていくが、それと比例するように不安も大きくなる。

それは「こんなことをしてよかったのか」という、今更ながら沸いてくる、道徳めいた後悔だった。夢に見た首を吊る女の影がどうしても、消えない。


ピンポーン


「!!」

飛び上がるほどに驚いた。自分しかいない家に響くチャイムの音。もしかして、和多田か尾花か?階段を降りる。玄関のすりガラスの向こうに黒い影。

「はい?」

呼びかけるが応答はない。なんだよ、急いでるのに。わずかにイラつきながら引き戸を引く。

「え」

ドアをまだ開けきっていないのに、ぬうっとその細い隙間から手が差し入れられて、潤はぎょっとして動きを止めた。枯れたように細く、そして薄汚れた肘から先が、扉の隙間から差し入れられている。

土気色――
その手の上にのっていたのは、失くした潤の生徒手帳だった。それを反射的に受け取って顔を上げたとき。

「はっ?」

もう、そこには腕はない。慌てて扉を開けるが誰もいない。夕暮れにはまだ明るい空。家の周囲に、人影はない。どこに…。

生徒手帳…。どこで落としたのだっけ…。それに思い到り、潤は震えた。

「あ…」

あそこだ…。じゃあ、これを届けてくれたのは…。
土気色の、どう考えても生きていない腕の持ち主。はがれかけた爪に赤いマニキュアの色を鮮明に思い出せる。女。首を。