205号室にいる 探偵奇談23
夢見が悪かったせいか、潤は盛大に寝坊した。慌てて準備を整えて走ったが、遅刻を免れることは出来なかった。、無断の遅刻に学校は厳しい。朝のホームルームに間に合わなかった潤は、昼休みになり生活指導部に呼ばれた。
「たるんどるぞー」
「すいません」
「ここに名前とクラス書いて…そう、はい生徒手帳出して」
「うーす…あれっ?」
いつも内ポケットに入れているはずの生徒手帳が、ない。
「あ、やべえ先生、ない」
「失くしたのか?再発行手続きになるぞ」
あれ、あれ、と制服のポケットをすべてひっくり返すが出てこない。
「どっかで悪さして落としたんだろ」
「悪さなんて…」
と反論しかけてハッとする。落としたとすれば、昨日の廃アパートに他ならない。あそこでばたばたと隠れているときに?
(ちょっと待て)
昨日の夜に見た、動画のコメント欄を思い出す。
≪落とし物を預かっています≫
落とし物…。まさかな。
「なんだ鎌田。変な顔して」
「や、なんでもないす。あの、再発行手続き待ってください。心当たり探してみます」
おまえしっかりせえよ、と指導部の教師は大仰にため息をつく。
「和多田も今日無断欠席らしいし、つるんで遊んでばっかおらんで、進路のことも考えろよ」
和多田が無断欠席?
作品名:205号室にいる 探偵奇談23 作家名:ひなた眞白