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実話・ソープにタダで通う裏技・男にモテるキャバクラ嬢の極意

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私の頭脳は刑法学の教科書と化していく。同室の2人は、もはや蚊帳の外。

 先日、検察庁の待合室で元自衛官が言っていた

「国選弁護士は何もしてくれない」

 私は、自分を担当して下さっている弁護士の先生を決して信用していないわけではなかったが、自分が自由になる刑法理論を、弁護士の先生が来る前に自分で構築しておきたかった。

 私にとって警察から差し入れられた3枚の書類の表は何の意味も持たない。 

 意味を持つのは、私が自由を手に入れる為の刑法理論を書き留めることが出来る書類の裏である。

 ――私は常用している睡眠導入薬と共に、いつもより多量にウイスキーを飲んだため、また誰かが自分を見張っているのではないかという妄想にかられマンションの外を見たところ、陸橋の上に立ち尽くしている男性を見ました。

 そして、この男性がいつも自分を見張っているグループの一員ではないかと妄想し、その真偽を確かめるため、かって自分が住んでいたアパートが銃撃された事を合わせ鑑み、自衛のために包丁を持って、この男のもとへ向かいました――

走り書きのメモを何回も読み返す。「妄想」という言葉を多用した。この言葉が自分を自由にしてくれる呪文になると信じて。

『また誰かが自分を銃撃してくるのではないか』最初は、そう書いていたのだが、『見張っている』と書き換えた。

 こちらの方が警察・検察に対する刺激が少ないと考えたからである。

 刑法学的に言うと、これまでは包丁を持ちだす正当な理由があったと主張していたのだが、そうではなく正当な理由は無かったのだが、私は行為当時には正当な理由が有ると勘違いしていたと、供述を変更する。

 また警察とオウム真理教との癒着に関する供述は撤回するという事になる。


 この理論構成で私は自由を勝ち取ることが出来るのか?

 不安が全身にみなぎってきた。留置場の日常は時間の流れが遅くて退屈過ぎるのに、こういう時は留置場の時間の流れは余りにも早すぎた。弱弱しい冬の陽光は、もう沈みかけている。

 そんな時、警察官の声が響いた。