実話・ソープにタダで通う裏技・男にモテるキャバクラ嬢の極意
大将が言葉を続けます。
「以前、80歳ぐらいのおじいさんと同室になったことがあるんだよ。
留置場から出してもらいたくって認知症のフリをして、部屋の中で随分と騒ぎまわって。警察官も最初は『静かにして下さい』って、穏やかに言う程度だったんだけど、いつまでも騒ぎ続けるものだから最後は怒り出して
『やい。じじい。静かにしろ』って、爺さんを捕まえて懲罰房に連れて行ったことがあったなぁ。あざやかな手つきで軽々と爺さんを拘束していったよ」
「さっき、あの青年が言っていた暴れる人って、時々いるんですね。あざやかな手つきというのは、警察官は逮捕術を習っているからでしょう」
大将も独身で、両親はもう亡くなっているのだそうです。
「ああ、俺ももっと親孝行しておけばよかったなぁ」
大将は、自分の人生を振り返って盛んに反省している様子でした。口には出しませんでしたが、犯罪を犯してしまった事を悔やんでいたのだと思います。
夜になって警察官が3枚目の通知書を差し入れてくれました。
1枚目は押収品目録通知書。
2枚目は私選弁護士を依頼した弁護士が依頼を拒んだ通知書。
3枚目は国選弁護士選任通知書です。なお細かな事ですが、通知書には弁護士ではなくて弁護人と記載されていました。
留置場ではボールペンを借りることは出来ますが、メモ用紙をもらう事は出来ません。
ですからこの3枚の通知書の裏をメモ用紙として使うしかメモを取る方法はないのです。
私は、この3枚の通知書をメモ用紙として、随分と重宝しました。
翌日、大将を見送る時がやってきました。私は師匠を見送ったときと同じように起立して彼を見送りました。
「執行猶予が付くことを祈っています。どうかお元気で」
鉄格子の向こう側で大将は、手錠をはめられ腰縄で縛られながら、私の方を振り向いて「ありがとうございます」
その顔はこわばっていました。大将は他の留置人に比べて、環境に順応することが出来ない性格が不器用な人だったように思います。
ですから拘置所に行くことをあんなに恐れていたのではないでしょうか。
作品名:実話・ソープにタダで通う裏技・男にモテるキャバクラ嬢の極意 作家名:匿名希望