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実話・ソープにタダで通う裏技・男にモテるキャバクラ嬢の極意

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そこへ顔面蒼白の大将が帰ってきました。

 明日、大将も拘置所へ移送されるのだそうです。

 何でも大将が言うには、留置場と違って拘置所というのは地獄のような所なのだそうです。大将はそこへ行かなければならなくなったことに多大な恐怖を感じていました。


 若者が目を覚まします。

「なぁ、君、拘置所に行ったことある」

 不安に怯えた大将は、少しでも拘置所の情報が知りたい様子でした。

「ありますよ」

(え! この青年、初犯じゃなかったんだ)



 私が大将の気持ちを、おもんばかって身を乗り出します。

「え! 経験あるんだ。どんな所。聞かせて。聞かせて」

大将が間髪を入れずに尋ねます。

「独房ばかりだって聞いたんだけれど、そうなの」

「いえ、そんな事ないですよ。8人ぐらいの部屋と、独房とがありますね」

「どちらが楽?」

「8人部屋の方が楽ですよ。囲碁や将棋も出来ますし、話相手がいるだけでも随分と気がまぎれますから」

「じゃあ、8人部屋か独房かは、どうやって決まるの?」

 大将は真顔で尋ねているので、私は黙っていました。

「中には暴れる人がいるでしょう。そういう人は独房に入れられますね。やっぱり人を見て決めているみたいですよ。あと留置場での態度も考慮されているみたいですね」


「俺、腰を手術していて座っているのが苦痛で、寝ていたいんだけど、そう言うの許されるの」

「だめですね。でも健康上の理由なら、自分から事情を説明した方がいいですね」


「8人部屋での序列は、どうやって決まるの」

「暴力団の組員が一番強いですね。小指がない人がいるでしょう。

 そういう人が一番強くて、それから刺青を入れてる人ですね。

 僕もこうやって左手の薬指に小さな線の刺青を入れてるんですけど、これ少年刑務所に1度行ったことがあるって合図なんですよ。

 これだけでも、だいぶ待遇が違ってきますね。でも僕は拘置所にいるときは、自分が一番下なんだと思って行動するようにしています」

 大将と一緒になって私までもが真剣に話を聞いているので、彼は得意げになっているようでした。でも、そこまで話すとまた寝てしまいました。


 火照っていた頭の芯が急激に冷えていくように大将も黙ってしまいます。

 私も大将の精神状態を、おもんばかって文庫本を読むことにしました。そっとしておいてあげた方が良いと考えたからです。