小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

実話・ソープにタダで通う裏技・男にモテるキャバクラ嬢の極意

INDEX|64ページ/130ページ|

次のページ前のページ
 

そして師匠との別れの朝が、やって来ました。

 4人で朝食をとって、昨夜リストに自分の留置者番号を記入してリクエストしておいた文庫本が差し入れられ、少しの時間が流れたら、まず昨夜の若者にお呼びがかかりました。取り調べだそうです。

 それから師匠にもお呼びがかかりました。

 私は直立し鉄格子を挟んで師匠を見送ります。

「お世話になりました。執行猶予が付くことを祈っています。どうかお元気で」

 鉄格子の向こう側で師匠は、手錠をはめられ腰縄で縛られながら、私の方を振り向いて会釈をしてくれました。

「前方良し。後方良し。男子房開錠」

 警察官の掛け声と供に、師匠が扉の向こう側へ消えていきます。


 空虚感が心の中を痛みのように駆け抜けていきました。

 部屋の中に座って文庫本を手に取ってみたのですが、寂しさが募って活字を理解することが出来ません。


留置場というのは、犯罪を犯した人(正確には嫌疑がかけられている人)が拘束されている場所です。みんな悪人ばかりなはずなのですが、意外に心が触れ合う機会に恵まれました。

「師匠が行ってしまって、これで私の話相手になってくれる人は大将だけになってしまいましたね」

 私は少しでも大将との心の距離を縮めようと思って語りかけます。

 そこへあの若者が帰ってきました。そして今度は大将が呼ばれます。私は話し相手が欲しかったのですが、若者は直ぐに寝てしまいました。

(あんなに熟睡していたのに、よくこんなに寝られるものだなぁ)

 昨夜ほどではなかったのですが、いびきがうるさかったです。

 20歳代前半のこの青年を見ていて、ある事に気付きました。

 彼がいびきをかくのは、顔の向いてる角度と関係がありました。寝返りをうって顔の角度が変わると、いびきが止むのです。