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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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夕島の言葉はもう、声にならない。苦しそうな呼吸が、少しずつ細くなっていく。見届けてほしいと彼は言った。ならば、目は逸らすまい。瑞は冷たくなっていく頬に触れ、その目に彼を映す。命の灯が消える最期の瞬間まで、忘れないように、この魂の最期を刻み込むように。


「夕島柊也」


穂積がそばに来ていた。血だまりの中に膝をつき、穂積もまた、夕島に語り掛ける。

「傷つき、翻弄され、憐れなまでに擦り減った魂よ」

呼びかけに応じるように、夕島の虚ろな瞳が穂積を見る。

「君にも眠れる時が来た」

血まみれの手を両手で包み込むようにとると、穂積は小さな声で続ける。柔らかく、そしてとても温かな語り掛けだった。

「ゆっくり休みなさい。もう誰も、君を傷つけない。もう誰も、無理やり眠りを妨げたりしない。次に生まれ行く先は、幸福でしかないと約束しよう」

その言葉に安堵したかのように、夕島が大きく息を吐いた。笑ったように、瑞には見えた。そして、夕島の瞳から光が消えた。

「夕島…?」

もう、呼びかけに彼が反応することはなかった。瑞は彼の胸に顔を埋めた。

光と影のように、同じように生まれ変わって来た。
夕島こそが光だったのに。
彼を影に落としたのは自分だ。
こんな風にしか、分かり合うことが出来なかった。それが悔しい。とても。
もっと別の、もっと血の通った、人間らしい関わりが出来ていれば、夕島の最期は違ったかもしれないのに。

救われる方法が、自ら死を選ぶことだけだったなんて。