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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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蒼い夜に目を向けたまま、夕島はその願いを口にした。

「もう、憎むのは嫌だ。その感情だけのもとに生まれ落ちるのは、もう嫌なんだ」

聞け、瑞。そう言って、夕島は真正面から瑞を見た。夜を映した瞳に、蛍の光が瞬く。

「死に方を選ばせてほしい。いつだって俺には、自ら選べる人生なんてなかったんだ。だから、最期、くらい…」
「夕島…?」
「せめてそれを、おまえに見届けて、欲しいんだ…」

震える声で言ったのち、夕島は腹を押さえて膝をついた。

「夕島、おまえ…」

腹を覆っていた手が外れると、そこからどくどくと赤黒い血が溢れだしていた。どっと倒れ込んだ夕島に、瑞は駆け寄る。

「本当に…俺は…死にたくなかった…ずっと…」

横たわった夕島の口から零れた言葉が、瑞の中の記憶の残滓と共鳴する。その言葉は、いつかの自分も抱えていた願いと同じだったから。

「…でも、思い出したよ…大事な人がいたし…大切な場所もあったんだ…俺を形作っていたものは、憎しみだけじゃなかった…それを思い出せたから、もう…いいや…」

夕島の命の灯が消えていく。瑞は夕島の頬に触れる。急激に温度を失っていくその身体。命が零れ落ちていくのがわかった。しかしもう、どうすることも出来ない。


夕島は、持てる力のすべてで、運命に抗ったのだ。
自ら死を選ぶという、法則を外れたやり方で。


「夕島…ごめん…俺は結局、何も…」

詫びる瑞に、優しい声で彼は応える。

「これで、いいよ…嘘じゃない…」