響くがままに、未来 探偵奇談22 後編
「俺は…こんなやり方でなきゃ…夕島を救ってやれなかった…!」
悔しさと無力感で、瑞は嗚咽した。
「こんな、やり方しか…!」
瑞、と力強く肩を叩かれた。紫暮の声だった。
「これでいい、と彼は言っていただろう」
「…うん」
「初めて、自分の死に満足出来たのだと…そう思ってあげよう」
死は避けられなかった。しかし、これが彼の望んだ形の最期なのであれば。
「ゆっくりおやすみ…」
穂積の右手が、優しく夕島の瞼の上を撫でる。目を閉じた夕島の表情は穏やかで、頬には涙が伝っていた。彼の瞳が開くことは、もう二度とない。
「この魂の願いは、われも聞いた」
いつの間にか白虹童子が傍らに立っており、静かな声で言った。
「彼と共にあった瑞、ぬしにも約束しよう。われは違えることなく、彼が望むやすらかな場所へ連れていくと。だからもう、そんな風にいつまでも自分を責めるのはやめよ」
瑞は頷き、目を閉じて祈った。
夕島柊也の為に。
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作品名:響くがままに、未来 探偵奇談22 後編 作家名:ひなた眞白