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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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「俺の人生をめちゃくちゃにしたのは、おまえだ」

夕島は言った。突き刺さるような言葉だった。虚ろだった瞳と声に感情が戻る。責めさいなむような笑いが混じる口調が、瑞を激しく罵った。

「かつて神であった魂自体が力を持っていたから、身勝手も通ったんだろう。いいご身分だ。俺があと一歩のところで人生を終えなければいけない絶望が、おまえにはわかるはずもないな。嫌いでたまらないよ…」

返す言葉もない。瑞はくちびるを噛んで俯くしかない。鏡の水面に映る自分の顔が、醜悪に見えて目を逸らす。秩序をねじ曲げる、と言われてもピンとこなかったが、目の前に実際に悲しい思いをして自分を責めさいなむ者がいる。
それが瑞には堪えた。これまで瑞は、一番振り回してきたであろう伊吹にさえ、責められたことがなかった。自分は、甘かった。やはり、許されないことだった。

「…俺の命は俺の物じゃなかった。おまえの命のおまけみたいなもの。いらない、違う、やり直し。そんな言葉で片付けられる、あってもなくてもどうでもいいものだった」

吐き捨てるように言って、夕島は顔を背けた。声が震えていた。ごめん、とか細い声でそれしか言えない。

沈黙が流れた。生ぬるい風が吹いて、鏡の水面に波がたつ。森がさわさわと音をたて、青い匂いが辺りを満たした。


「…だけど、もう、憎むのも、疲れた…」


夕島は言った。