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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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「ここは不思議な場所だから、そういう心の奥深くの思い出を、揺さぶられたり呼び起こされたりするんだよ」

青年に倣い空を見上げた。まっすぐに伸びた木々の隙間から陽光が差し、木々を揺らす風が胸の奥をさらっていくように吹く。不思議な場所…。

「そーまくーん!またあの猫きてるー!」
「つかまえてよー」

境内で遊んでいた小学生の集団が、青年を呼びにきた。

「猫?」
「うん、最近新顔の野良ネコが頻繁に遊びにくるんだ。あいつらかわいいから何とかして手懐けたいみたいなんだけど、野良は気性が荒くて無理だっつってんのに」

小学生のもとに向かう青年についていくと、本殿の入り口に、小さな黒猫が座っているのが見えた。まだ小さい。小学生たちが期待を込めたまなざしで遠巻きにそれを見つめている。

「かわいー!」
「そーまくん捕まえて」
「無理無理。この辺の野良集団とも全然なれ合わないし、めっちゃ気性荒いんだから。手出したら怪我するぞ」」

黒猫と目が合った。合った気がする。梨絵は屈みこみ、猫を呼んでみた。なぜだか、急に触れてみたくなったのだ。

「…おいで」

梨絵が手を出すと、黒猫はじっとこちらを見据えた。その瞳のまっすぐさに気圧されそうになりながらも、見つめ返す。すると黒猫は警戒しながら静かにこちらへ近づくと、梨絵の指先に頬をこすりつけたのだった。