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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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「それで、向こう側の人達とは、もう二度と…会えなくなるって…」
「うん…」
「それで…俺、」

そこまで言うと、瑞は言葉を飲み込んだ。時間がとまったかのように体を静止させ、大きな目を見開いた。

「…瑞、」

大きな体を折り曲げて、瑞は両手で顔を覆った。漏れ出る嗚咽を聞き、せつないくらいにつらい「後始末」をつけてきたことが、部外者の颯馬にもわかった。

「瑞…おかえり」

それは伊吹も同様だった。何も聞かずに、ただ彼を静かに迎えた。
歩み寄った伊吹を軋むくらいに抱きしめて、瑞は泣いた。泣いているのだと、思う。声を一つも漏らさないが、その腕も体も震えていたから。

(惑いながらここまで廻った魂が、ようやく安息を得た、と考えていいのかな…)

颯馬は胸を突かれる思いだった。彼が失ったものと、それと引き換えに得たもの、その両方の重さと大切さが伝わってくる。食いしばっているであろう歯の隙間から漏れる、瑞の呻くような声が、その胸の内の痛みを表していた。

分かたれた道が混じり合うことはもうない。そのどちらも得難い幸福であったことがわかったとしても、二度と戻ることはない。

だが、彼は選んで戻って来た。彼と生きるこの世界へ。

「頑張ったな。ありがとう」

伊吹はただ彼の感情を真正面から受け止めていた。
この結末を見届けることが出来てよかったと、颯馬は思う。

(瑞くんがここに戻ることを許してくれて、ありがとうございます)

そして、この二人の魂に寄り添い、その生を許してくれたであろう自分の主らを、誇らしく思うのだった。





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