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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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ともしび



瑞が姿を現したのは、もう深夜も間近のことだった。颯馬は、絶対に彼が戻ってくることを疑わなかった。童子は恐ろしいことも言っていたが、必ず瑞を守ってくれることを確信していたし、隣で祈るように目を閉じていた伊吹が無事を信じているのがわかったから。

「瑞くん!」

戻って来た。髪はぐっしょり濡れているし、フラフラだった。岩壁に手を突きながら、なんとか立っている状態で、彼は洞窟から出て来た。

「よかった~!」
「瑞…大丈夫か」

二人で駆けよる。疲弊しているが、外傷などはないようだ。毒だと言われた清浄すぎる空間にこれほど長く身を晒し、無事に帰って来られただけで奇跡だ。

「…夕島は、もう、大丈夫」

かすれるような声で、瑞は言った。伊吹が、静かにそれを聞いている。

「もう…二度と、苦しんだり、悲しんだりしないように、俺がちゃんと…見届けて来たから」
「うん…そっか…」

伊吹が静かに相槌をうつ。決着がついたということか。颯馬は確信した。中でどのようなやりとりがあったかはわからないが、無事に穂積と邂逅し、問題は解決されたのだろう。

ハッピーエンドのはずなのに。
疲れ切った瑞からは、達成感や満足感はうかがえない。疲労と、そして心細そうな表情を浮かべ、縋るように伊吹を見つめている。