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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 後編

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うん、と頷くと、童子はやや不機嫌そうに言う。

「今回は前回のような生ぬるい審判では済まぬ。こちらに実害ともいえる影響が生じたのでな。いまこの時より、両者の世は完全に断ち切られる。二度と会えぬし、二度と干渉し合えぬ。よいな?」

童子の厳しい声は、やがて静かなものに変わった。

「だが…忘れたくないと願うくらいは…許してやる」
「え?」
「どうせいつかは全部忘れてなかったことになる…。それまでの間くらい…好きにするがいい」

やったあ、と瑞は童子の背中を叩いた。

「ぶ、無礼者!」
「俺記憶力いい方だから、絶対忘れんもん」

紫暮が呆れたように笑う。

「中途半端に覚えている方がつらいという気もするがね。ま、好きにするといい」
「もう、私たちがおらずとも心配はない」

穂積が言った。

「だから、安心して消えるよ」

東の山際が白んでくる。朝が来る。終わる。もう何も言えず穂積を見つめる瑞に、優しい声が降った。


「――それとも瑞、一緒に来るか?」


手を伸ばされる。

あの夏に、戻る…?

一緒に。
この幸福な夏に戻り。
次こそは終わらせない。
今度こそ間違えない。
大切な人たちと、もう一度あの夏を、やり直す。
それが、今なら、出来る…。

「やめて…」

瑞はこらえていた涙と一緒に、吐き出す。