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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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公園のベンチに腰掛けて、梨絵とともに他愛のない話をする。梨絵の穏やかな声は妙に心地よくて、ずっと聞いていたくなる。不思議な心地だった。

「ムサシ、お手」
「キャン!」
「よし。だいぶ賢くなってきたぞ。次は待て、だな」
「柊也くんてば、もうこの子完全に自分をムサシだって認識してるじゃん…」

チワワは従順に夕島の膝に乗っかり、期待をこめた目で見つめてくる。所詮は獣なのだが、零れ落ちそうな大きな目を見ていると、なるほど可愛いかもなと思えてくる。

「ねえ。柊也くんは、生まれ変わったら何になりたい?」
「…え?」
「もっかい人間に生まれたい?」

唐突すぎる質問に、思わず梨絵の顔を見る。しかし彼女は至ってあっけらかんとした表情だった。たぶん、ほんの雑談ついでに出た話題なのであって他意はないようだ。
それにしても、なんて酷なことを聞くのだこの俺に、と夕島は笑いたくなる。

「生まれたくないよ。こんな、しんどい生き物」
「じゃあ、何ならいいのよ。犬?」
「…いや、猫かな」

ねこ、と彼女は笑う。野良猫がいい、と夕島は続けた。

「何にも振り回されず、煩わされず、寂しさも、己の不幸も幸福も、他人と比べる煩わしさもなく…のんびり生きて、ひっそり死んでいきたいんだ」

そうだ。もう、出会いだの別れだのは、たくさんなんだ。

「何かに振り回されて、つらいの?」

優しい声に、胸がぎゅっと締め付けられる。