響くがままに、未来 探偵奇談22 前編
「白虹(はっこう)だよ。珍しい現象だ。たぶん童子様がいらしている」
颯馬の言葉に、瑞は以前歴史の授業で沓薙山に登ったことを思いだした。四柱様について、教師が話していた。
「沓薙山の一柱、白虹童子か…確か、どんな願いも叶えてくれるんだっけ?」
「そうそう。白虹が出たときに山に登ると、その人が一番望むものが手に入ると言われているんだ」
足早に歩く颯馬が解説してくれる。
「娘を失くした父親が、童子様の導きで娘の魂を取り返したという昔話が残ってる。これはきっと導きだ。瑞くんがいま一番望むものは、なに?」
いま一番、望むもの…。
「…夕島柊也の、救済。そのために、お役目様に会いたい」
「きっと童子様は叶えてくれるはずだ。行こう」
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作品名:響くがままに、未来 探偵奇談22 前編 作家名:ひなた眞白