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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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京都から戻ったその足で、瑞と伊吹は、颯馬とともに沓薙山を目指していた。
夕島柊也との因縁を断ち切るために、「お役目様」との邂逅を果たす。それが、瑞と伊吹がほぼ同時に受けた導きだった。

瑞は颯馬に、京都であったこと、夕島とのやりとり、そして導きの内容を告げた。詳しいことはわからない。ただ、夕島や自分の転生の中心にある、もう一つの大きな力が「お役目様」なのだ。これまで重要な場面で幾度か会っているあの老人。彼に接触するために、沓薙山の神域である水鏡の洞窟に入る。その許可がほしいと。

「うーん、あそこは神域で、おいそれと一般人を通せばじいちゃんの鉄拳が飛んでくるわけだけど…でもいずれ瑞くんらがそこに入ることが宿命づけられているのもわかってたし、それが今ってことなのかなあ」

颯馬は考え込んでいる。そこは現世とそうでない場所の境界であるという。奥にある水鏡は、覗き込んだ者の内側を映し出すと言われていた。もうそこにしか、すがるものがない。
なかったことにした向こう側が及ぼしてくる多大な影響が、瑞の近くにいる大切な人たちにも牙をむき始めているのだ。

午後になって気温が下がり始め、霧雨が降り始めている。その薄暗い雲の隙間から、わずかに日の光が差しているのが見えた。

ゴーーーン

突如あたりに響き渡った重い音に、三人は同時に声を上げた。

「な、なに今の!」
「…合図だ」

颯馬が言う。合図、と聞き返して思い出す。いつだったか、以前にも山が鳴ったことがあった。四柱様の合図。

「山を見て」

颯馬が言った。目指す沓薙山が、ここから見える。山頂付近に、色のない虹がかかっている。霧雨とわずかな日の光で作りだされた幻想的な光景。