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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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「梨絵」
「…何でかわかんないけど、そうなの。子どもの頃から、何度もあったの。ああ、柊也くんはいつかいなくなるんだっていう、変な感覚。それがずっとずっと付き纏ってて…」

彼はそれを聞いて笑った。

「そっか、おまえは知ってたのか」
「え…?」
「知ってて、そばにいてくれたのか」

ありがとう、と彼が言う。今までに聞いた中で、一番優しい声だった。

「逃げてもいいって言ってくれたから、腹が決まったよ」
「柊也くん…?」

梨絵、と腕を引っ張られて立たされた。

「最期に会えたのが梨絵でよかった」

それはまるで、別れの挨拶ではないか。

「俺の中に、ちゃんと誰かを思う気持ちがあって、よかった。気づけてよかった」
「いやだ、なんでそんなこと言うの…」

呼ばれた、と彼は小さな声で言った。

「誰に?どこに行っちゃうの…?もう会えないの…?」

大丈夫、と言ったかと思うと、彼は手のひらで梨絵の視界を隠した。

「寂しいのも、悲しいのも、全部消えてなくなるよ。俺のことを思い出すことも、もうない」

さようなら、と耳元で囁かれたかと思うと、視界の開けた公園には、もう彼の姿はなかった。犬が、ベンチで眠っている。