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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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希望だった



梨絵は、彼を抱きしめながら不思議な感覚に陥っていた。

(柊也くん…?)

小さい頃から知っている。近所の男の子。一緒に大きくなってきた。口が悪くて、でも優しくて、実はそんな彼にずっと片思いをしていた。いま、その大好きな彼が腕の中で泣いている。何があったのだろう。ずっとそばにいたのに、こんな風に肩を震わせるほどの悲しみを彼が背負っているなんて、梨絵は気づかなかった。

保育園のときは、チビチビと、さんざんからかわれた。
小学生のとき、飼っていた最初の犬が死んだとき。一緒にお墓を作ってくれた。
中学でいじめられて不登校になっても、彼は変わらぬ態度で接してくれた。
そして高校生になった今、彼の不器用な優しさをこんなにも愛おしく思う。

それなのに。

(…どうして?)

腕の中の彼と、もうすぐ別れなければいけない。そんな感覚が強烈に胸に溢れてくるのだ。お別れ。もう会えなくなる。どうしてそんな風に思うの?嫌だ!

「梨絵、ありがとう。ごめん、変なこと言った」

体を離して彼は言った。だめ、と梨絵はその腕を引く。

「梨絵…?」
「行っちゃだめ…」

もう会えなくなる。何か強大で邪悪な物が、彼を遠く遠くへ連れ去ってしまう。それはもう根拠のない確信だった。恐慌をきたし、梨絵は彼にしがみつく。

「柊也くん、いなくなるもん!」