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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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蛍が飛び交う幻想的な光景の中で、穂積は笑っていた。

「…ごめんなさい」

瑞の口から出たのは、そんな言葉だった。

「俺のわがままで、みんなに願いを叶えてもらったのに、それさえ反故にして、こんな厄介事を呼び寄せて…ごめんなさい…」

泣きそうだ。すべては、自分の心の弱さや迷いが招いたこと。

「謝らなくていい」

優しく髪をかきまぜられる。

「瑞が一番幸せだと思うことを、わたしたち全員が望んだから。それでいいんだ。おまえがこの未来を選んだのなら」
「…でも、その結果、俺は夕島を殺してる。もう終わらせたい。何とかして、死の螺旋を断ち切りたい。何でもいい、俺に出来ることを教えてください。そのために…俺の命とか記憶が失われることになっても、もう…」

瑞の悲痛な訴えに穂積はしばし黙した。そしてその後、ゆっくりと丁寧に語り始めた。

「今世の彼も、間もなく死ぬ。おまえと伊吹が互いに同じ時代に生まれることが、彼のリセットのスイッチになっているからだ」

夕島が死ぬことは、もう確定事項なのだ…。

「それは未来永劫変わることのない法則だった。しかし、瑞と伊吹が繰り返す法則を改変してしまった今世ならあるいは、彼の死の螺旋を止められる可能性は、ある」

希望は、ある?
あいつが、もう、死の絶望を繰り返さなくて、済む…?

「すでに今世でも、彼は幾度か死んでいる。さまざまな物が歪んだ結果、こうして時間軸も狂い始めているんだ」

そうだ。夕島ときっかけを持つようになったのは、数か月前の鉄道事故だと思う。あのとき、すでに今世での夕島の死は繰り返されていたのだ…。