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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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「神と通じ雨を降らす兄妹は人ではない。人神だった。兄妹の父親は、雨を降らすことで帝の信頼を得たい一心の為、人神であるおまえを利用し、禁忌を犯したのだ」

禁忌。その言葉を聞いた途端、全身に痛みが走り、瑞は呻いて膝をついた。この痛み、感覚、どれも知っている…。猛烈に、喉の渇きを覚えた。

「父親は、雨を降らす龍神の池を、神への供物であるおまえの血で穢した。血と死の穢れに激怒した龍神が、水害、即ち大雨をもたらすと考えたのだ。おまえの父親は、残酷で冷酷だった。今思えば、あの強欲さが…物語の始まりだったともいえる」

父親…。

「干ばつで飢えた人々は、殺されたおまえの肉を喰ったんだ。そして遺体を、池に投げ込んだ」

黒い影が吼えた。熱風が押し寄せる。その風の中に、強烈な怒りと憎悪を感じた。

殺してやる。
殺してやる。
すべてを焼き尽してやる。
なぜ俺ばかり。俺が何をしたというのだ。許さない。許さない!

そんな感情をぶつけられ、瑞は目をきつく閉じる。

「兄妹の父親の思惑は外れた。おまえは呪われた存在となり龍神を喰らい、父を殺し、都を焼いた」

あの黒い獣が、俺なのか…?

「妹とともにつらい雨ふらしの役目を捨てて、ただのヒトとして生きたい。その願いをこのような形で奪われたおまえは、復讐の為に幾多の命を奪った」

呪われた存在、というのはそういう意味だったのか…。

「巫女である妹が、命と引き換えにおまえを封じた。人神であるおまえの血肉を口にした人々は強力な力を得て栄えることになる。祟り神であるおまえの力と、妹の巫女の力を利用し、陰陽師として長く繁栄していくのが、神末家と須丸家だ」

その瞬間、火の海であった都は消え失せて、瑞は再び洞窟の中にいた。強烈な熱さと喉の渇きは、嘘のように消えている。荒い息を整え、吐き気をかろうじて抑え込む。紫暮は瑞の様子が落ち着くのを待ってから、再び口を開いた。