響くがままに、未来 探偵奇談22 前編
伊吹はしばらくぽかんとしていたが、やがて笑って頷いてくれた。
「わかった。待ってるからな」
「うん」
もう迷うまい。瑞は洞窟をくぐる。ぼんやりと青い光を放つ岩壁。ひた、ひた、と水の落ちる音が静寂に響く。ひんやりとした空気を吸うたびに、体の中を循環してからっぽにしていく感覚がする。まるで強烈な浄化作用があるような。
お役目様に会う。
そして自分の深淵にいる夕島と対峙する。
その強い意思だけで、瑞は先へ進む。
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作品名:響くがままに、未来 探偵奇談22 前編 作家名:ひなた眞白