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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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最後の鍵を開く者 探偵奇談21

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落ち着け、と自身に言い聞かせたのち、極力平静を装って瑞は答えた。

「…いいよ、切る。でもちょっとだけ、待ってくれる?」
「え?」

自分の気持ちが、ちゃんとはっきり郁に向くまで。きちんと真正面から向き合えるようになるまで。郁の真摯な思いに、中途半端な興味や好意で応えるわけにはいかないから。

「…俺、いろいろちゃんとするから、待っててほしい。それまで、誰にも、切らせないで。絶対」

きょとんとした表情を浮かべ、郁は瑞を見つめる。

彼女の口から好きだと言わせると、あのとき意地悪く決意した瑞だったが、どう考えても好きだと伝えずにいられなくなるのは、自分の方だ。もう隠せないしごまかせない。

彼女は特別なのだ。自分にとって、特別な女の子。身勝手はもう百も承知だけれど、こうなったらもう誰にも渡したくないと強烈に思った。

「わかった。待ってるね!」

色づくように明るい口調で、郁が嬉しそうに答える。

「うん、約束」

星空の下で、ゆっくりと心が結ばれていく。





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