小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

最後の鍵を開く者 探偵奇談21

INDEX|18ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

何を引き換えにしても



「郁ちゃん、お風呂どうぞ」
「はい!ありがとうございます」
「これ、わたしのパジャマだけど、使ってね」

郁が絢世に呼ばれて風呂へ行く。伊吹は、瑞とともにここへきてあったこと、夕島柊也についてを颯馬に説明する。颯馬は微動だにせず聞いていたが、瑞が話し終えると、ふうん、と呆れとも諦めともつかないため息をもらすのだった。

「それってもう、魂に憑かれてるってことだから、どうしようもなくない?死ぬまで追いかけて来る的な」

颯馬がさらりと恐ろしいことを言うので、伊吹はぞっとする。隣の瑞が畳の上に視線を落としたままで、静かに紡いだ。

「…このまま、先輩や一之瀬だけじゃなくて、家族や友達にまで、夕島の悪意が及ぶようなことになったらって考えると怖い。それだけは…」

真剣に思い悩んでいる瑞の横顔は、かわいそうなくらい憔悴している。伊吹は、気の利いたことの一つも言えず、同じように黙するしかなかった。

「だよね」

茶化せない雰囲気を察してか、颯馬もまた黙り込む。沈黙が落ちて静かになる。夜の静けさが窓から忍び寄り、伊吹らの会話を飲み込んでいるような感覚だ。