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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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最後の鍵を開く者 探偵奇談21

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目が覚めた伊吹は思い切り寝過ごしたことを悟る。朝練のある日々だから、目覚ましよりも早く起きるのが常なのだが、今日はずいぶん眠ったものだ。

「あ、起きました?」

瑞が机で本を読んでいる。

「うん、おはよう…すごい寝た…」

ぐっすり眠れたからか、体が軽い。軽く伸びをして起き上がると、そろそろ正午になるところだった。日が高い。いい天気のようだ。窓から見える新緑をぼんやり眺めていると、昨日までの黒々とした不安が静かにほどけていくような心地がした。染み込んでくるその美しい緑に見惚れている背中に、瑞の声が降る。

「先輩、あの…」

なに、と振り返ったとき、机の上の瑞のスマホが着信を告げた。

「…颯馬だ。もしもし?」

そうだ、颯馬にも一連の出来事を報告しなくては。おそらく何らかの危機を察し、離れたところから力を貸してくれたはずなのだ。

「え?うちが何?なんで?え…おまえいまどこに…ハァ!?京都駅!?」

瑞が驚いたように声をあげ、伊吹と顔を見合わせる。



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