小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

螺旋、再び 探偵奇談20

INDEX|5ページ/38ページ|

次のページ前のページ
 


都会的な雰囲気を持つ瑞が、こんな自然の中でのびのびと育ったことが、伊吹には少し意外で、そしてとても新鮮だった。甘えん坊の末っ子として、この家でスクスクと育ち、友達と野山を駆け回っていたのか。そんな微笑ましいことを考えているうちに、ほぐれた緊張と疲れとのためか、睡魔がやってくる。瑞に倣って横になった。

(ああ、何だろう。ホッとする…)

ひんやりとした木の床の心地よさ。風が吹くたびに、庭の木々がさわさわと音をたてている。時折聴こえてくる声や足音は、階下の家族のものだろう。ほのかに香る香水は、いつも瑞がつけているイチジクの香り。

その一つ一つの感覚を意識でなぞっているうちに、重たい瞼はすぐに閉じてしまった。



… … … …



「伊吹」

誰かに呼ばれている。伊吹、と繰り返し声が降ってくる。

「伊吹、申し訳ない」

謝られた。何のことだと応えたいのだが、出来ない。この心地のいい眠りが、話すことや目を開けることを邪魔してしまう。眠らせてほしい。ものすごくいい夢をみていた気がするのに邪魔をしないでくれないか。


「またおまえに、迷惑をかけることになる」


え?


この声は。




.