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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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螺旋、再び 探偵奇談20

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「あっ…」

上空からのカラスの群れが社殿に飛び込んできた。カラスが夕島に飛びかかる。慌ててそれを振り払う彼の手から、鈴が転がった。伊吹はそれを素早く拾い上げる。


伊吹先輩、走って!


颯馬の声だ!これは、沓薙四柱の眷属神のカラスか。伊吹は走り出す。背後からはカラスの鳴き声が絶えず響いていたが、構ってはいられない。参道を抜けて鳥居をくぐる。苔むした石段を駆け降りる。

「伊吹!」

石段の下に、瑞がいた。伊吹の姿を認め、ほっとしたように腕を引く。そのまま神社を離れ、狭い農道を走った。ここまでくれば安全だと彼は言い、伊吹を振り返る。

「無事か。鈴は」
「大丈夫、ここにある」

よかった、と彼は伊吹の両肩に手をおいて深く項垂れた。

「これで、瑞は目覚める?」
「もう大丈夫だ。ありがとう伊吹。あいつは戻ってくるよ」

よかった。とりあえずは。だが大きな疑問は残っている。あの夕島柊也の存在だ。
教えてくれ、と伊吹は瑞に詰め寄った。

「夕島は、俺達を恨んでる。あいつは何なんだ?おまえなら知ってるはずだ」

瑞はきつく目を閉じて黙り込んでいる。

終わったはずではなかったのか?
天狗を仲介し、自分達の紡いできた因縁はもうすべてほどけたはずなのだ。もう二度と、この瑞に会うこともないのだと思っていたのに。